エムピウでよく使っている〈リスシオ〉について。
Badalassi Carlo
バダラッシィ・カルロBadalassi Carlo社はトスカーナ地方フィレンツェのタンナー地区でイタリア植物鞣し本革組合Il Consorzio Vera Pelle Italiana Conciata al Vegetaleが認める高品質な植物性フルタンニン鞣し革を生産している会社です。
植物鞣しは近代的なクローム鞣しと比べて手間暇とコストがかかる代わりに、環境に優しく自然な経年変化を得られます。
Vacchetta
バダラッシィ社はサンタクローチェ地方古来の伝統的なバケッタVacchetta製法を蘇らせました。これは植物の樹皮などから抽出したタンニン(渋)を使ってじっくりと鞣してから、牛脚油でゆっくりと加脂する伝統技術です。
最近は効率化のため多くの革に合成油・魚油が使われていますが、牛脚油には脂が浸透しづらく時間と手間がかかる反面きちんと染み渡りオイル分が抜けにくい特性があり、使い込む度に少しづつ艶が増し美しいエイジングをみせてくれます。
仕上げは染料で行われています。革の表情を生かした透明感のある質感が生まれますが、顔料仕上げと違って生前の傷や首部分の皺(トラ)などを隠せず、濡れると染みになってしまうくらいデリケートな面があります。だからこそ革が「育ち」次第に落ち着いた自然な発色へと変化して独特の深みを生み出すことが出来るのです。
Minerva Liscio
ミネルバMinervaシリーズのリスシオLiscioは、成牛(ステア)の肩部分(ショルダー)のみを利用した革です。リスシオはイタリア語で「滑らか」という意味を持っていて、その名の通りスムースでしっとりした感触があります。
最初はマットに見えるのですが、経年変化が早めで色や艶の深みがどんどんと増していきます。愛でて育てる楽しみを味わっていただくのに最適な革だと思います。
ミネルバシリーズにはボックスBoxというラインもあり、リスシオをシボが出るように揉み加工したものです。