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メンテナンス

「育つ革」との付き合い方に厳密なルールや正解はありません。基本的な内容をご紹介しますので、みなさまならではの育て方を編み出していただければと思います。

日々のお手入れ

それぞれの使われ方によって千差万別な表情をみせる革。新品からただ劣化していくのではなく、共に重ねた年月の記憶=エイジングが自分だけのしるしとなって現れる魅力的な素材。エムピウは日常で刻まれた痕跡も含めて「育ち方」であり、個性や味になると考えています。

天然皮革は自身に油分を含んでいるので、専用ブラシや乾いた布で少し磨くだけで艶が甦り細かな傷も馴染んでいきます。
一日の終わりにほんの数分、優しく汚れを拭う。それだけで充分応えてくれます。

ただしエムピウで使用する革は、そもそもの風合いを活かすため強力なコーティングをしていないものがほとんどです。人に例えれば「素肌」の状態とも言えます。少しカサついてきたかなと感じたら、サポートしてあげてください。

ケア商品として取り扱いしている《ラナパー》は植物性成分を主体としたクリームです。塗布しても急激に浸透せず、慣れない方でも使いやすくなっています。柔らかな布地や清潔な指でなるべく薄く出来るだけ手早く塗り伸ばし、少し乾かしたら拭き上げます。

もちろん普段お使いのアイテムでも構いません。スプレーやクリーナーなどはそれぞれの説明書をご確認の上、目立たない場所で試してから全体にご使用いただくと失敗が少なくなります。

動物性の油分が強いミンクオイル等は、特にヌメのような淡色系皮革で染みのように変色する可能性があります。

皮革の変質

ご使用時

革製品は濡れると水ぶくれができてしまいます。色移りや変形を引き起こす主因もほとんどが水分です。

ボトムスやシャツのポケットには思っているよりもたくさんの汗や外気の湿気がこもっています。特にジーンズはダメージや色移りが起こりやすい材質です。常に身に着けてくたくたに使い込むこともひとつの付き合い方ですが、ゆっくり育てたい場合は上着や鞄に入れて持ち歩いてください。

またアルコール消毒後の乾いていない手で触れてしまったり、洗面所の濡れた台に置いたりすることで、予期せず染みが生じることがあります。鞄に入れたペットボトルの結露や湿ったタオルなども注意が必要です。

事前にレザー用防水スプレーを使っておくと多少の予防にはなりますが万能ではありません。濡れてしまったらすぐに水分を吸収できる素材で軽く押さえながら吸い取ること、完全に乾いてからケア商品で補うことを心掛けていただけますと幸いです。

革表面の変質や変色変形は状態の復元が難しく、弊社では補修を承れませんため専門業者様などにご相談くださいませ。

保管

長期間使わない時は不織布など通気性がある柔らかい素材で包んでおくと、一緒に仕舞うものに貼り付いたり埃が入り込んだりすることを防げます。鞄はタオルや不要な紙を丸めて中に入れ、立てたまま収納することで型崩れ防止になります。

ビニールなどで密封してしまうと変質することがあります。

化学物質を含む防虫剤などは革と触れたままにしておくと変質してしまいます。ゼリー状の乾燥剤・防臭剤を利用されている場合は液漏れによる付着が起こらない場所に設置してください。

外物置など気温湿度の影響が大きく密閉される所での保管は劣化を早めます。なるべく光の当たらない安定した環境に置いてください。半年に一度程度はお手入れを兼ねて取り出し、風通しが良く直射日光の当たらない場所で半日くらい休ませてあげると長持ちします。